平成14(2002)年度 静岡県高校サッカー選手権決勝
静岡学園 2−1 藤枝東
得点者:(静)横山2
(藤)成岡
この年から、主力を年代別日本代表に送り込み、1次トーナメントと二次予選をベストメンバーで戦えないチームを対象とした「特別シード校枠」が新設されました。対象となったのは、清水商業、浜名、藤枝東、静岡学園の4チーム。これに二次予選を勝ち抜いた8チームを加えた12チームによる決勝トーナメントとなりました。
前年度優勝の静岡学園は、初戦となった決勝トーナメント2回戦で清水東を0−0でPK戦の末下すと、準決勝は浜松湖東を相手に前半にFW・深沢宏介、後半には期待のルーキー・狩野健太とDF・牧野泰直が加点し、3−0で圧勝し決勝に進出。この年の有力選手は、攻撃陣は静岡学園歴代の中でも稀代のドリブラー・谷澤達也を筆頭に、点取屋の横山拓也、MF・安藤淳、狩野健太、牧野泰直らで、守備陣は対人に滅法強い小林祐三をはじめ、ディフェンスリーダーの剣持貴充、松下幸平といったメンバーを中心に構成されていました。
反対のブロックでは、藤枝東が全国でもトップの実力を誇る天才MF・U-19日本代表の成岡翔が最終学年を迎え、同学年のDF・大井健太郎、MF・岡田隆らいずれもジュビロ磐田内定者を擁し、1年生には成岡の後継者と目されるMF・赤星貴文もいるなど静岡学園に勝るとも劣らないタレント力を有し、こちらも有力な優勝候補となっていました。初戦は藤枝明誠との藤枝対決を3−1と制し、準決勝はMF・菊地直哉を擁する清水商業に対し1−1で同点の末、PK戦を制し、決勝に進出しました。
決勝は静岡学園ー藤枝東という、優勝候補本命同士の注目の対戦となりました。
スタメンはそれぞれ以下の通り。
試合は序盤から動きます。前半4分、ペナルティエリア中央で1人をかわした静岡学園・谷澤達也が、前戦に絶妙なスルーパス。FW・木戸吾郎がダイレクトでシュートを放ちますが、藤枝東のGK・清野雄大の好セーブで凌ぎます。
対する藤枝東は前半6分、右サイドを突破した河合陽一郎が強烈なミドルシュート。キーパーが弾いたところを左サイドの田中徹也がダイレクトで折り返し、ヘディングで合わせたのは成岡翔でした。まさにエースの働きで、これ以上ない形で先制します。
その後は静岡学園が積極的にシュートを放つなど攻勢を強め、前半25分にはキャプテン・牧野泰直が放ったフリーキックは惜しくもポストを直撃します。直後にはペナルティエリア内でスローインを受けた谷澤が華麗なターンでマークを剥がし、右足を振り抜きますが、ボールは大きく枠を越えていきました。
その後も静岡学園が押し続けましたが、得点は生まれず、1−0で前半を終了しました。
後半はキックオフ直後、藤枝東のセンターFW・森下智文の巧みなポストプレーの落としを受けた1年生MF・赤星貴文が左足ダイレクトでシュートを放ちますが、ボールはゴール右へ。
対する静岡学園は、直後にペナルティエリア内で粘った谷澤、さらにその直後に右サイドの牧野からのクロスを横山拓也と立て続けにシュートを放ち、開始早々からお互いにゴールに迫ります。
そして後半6分、左サイド深くで競り合いからボールを奪った静岡学園・松本篤史が絶妙なクロスを上げ、中央でフリーになっていた横山がヘディングシュート。静岡学園が遂に同点に追いつきます。
後半15分には右サイドの静岡学園・谷澤のフリーキックから、ファーサイドの横山がヘディングで合わせますが、ボールは惜しくも右に逸れます。
続く18分には右サイドをフリーで抜け出した木戸吾郎が中央の横山に合わせますが、精度をやや欠き、合いません。
藤枝東も攻撃を試みますが、連動した崩しを起こせず、決定機を作れません。
しかし後半25分、藤枝東は左サイドからのクロスに森下がヘディングで擦らせたボールに走り込んだ河合が、エリア内で後ろから静岡学園ディフェンダーに足を引っ掛けられます。完全にPKと思われましたが判定はノーファール。
これがPKだったら当然結果も違うものになっていた可能性は高いと思いますが、審判に言い寄らない藤枝東のフェアプレー精神は素晴らしかったです。
そしてこのプレーをきっかけに藤枝東が勢いを取り戻し、河合、田中の快速両ワイドを活かして攻め込みます。
後半29分には、大会初先発の藤枝東のボランチ・木村哲也がハーフェーライン手前から相手ディフェンダーのディフェンスを振り切って持ち上がり、前線の森下に絶妙なスルーパス。ダイレクトシュートを放ちますが、静岡学園のGK・飯塚渉が素晴らしい反応で防ぎます。
その後も藤枝東が一方的に攻める時間が続き、流れの悪い静岡学園は、後半34分、FW・木戸吾郎に代えて、ケガ明けのMF・渡井博之を投入します。
その渡井がいきなり魅せます。右サイドでボールを受けると、前にいた1年生MF・狩野健太にパス。狩野がダイレクトヒールで戻したパスを受けた渡井はペナルティエリアに侵入し、強烈なシュート。しかしここは藤枝東のGK・清野が防ぎます。
迎えた後半ロスタイム、右サイド、ハーフェーライン付近からの剣持貴充のフリーキック。意表を付いたストレート系の早いフィードをゴール前に送り、反応したのは横山。ヘディングシュートはゴール右隅に吸い込まれ、劇的な決勝ゴール。
全国屈指のタレントを揃えた名門同士にふさわしい、素晴らしい激闘を制し、静岡学園が2年連続の優勝を飾りました。
静岡学園は全国でも優勝が期待されましたが、1回戦で山口県代表・多々良学園に対し1−1の末、PK戦で敗れ、無念の初戦敗退となってしまいました。
平成14(2002)年度 静岡県高校サッカー選手権結果
優 勝
静岡学園
準優勝
藤枝東
ベスト4
浜松湖東、清水商業
ベスト8
清水東、浜名、藤枝明誠、静岡西
全国高校サッカー選手権結果
1回戦敗退
大会優秀選手(ベストイレブン)
GK
清野雄大(藤枝東・3年)
DF
佐塚 遼(藤枝東・3年)
松下幸平(静岡学園・2年)
大井健太郎(藤枝東・3年)
牧野泰直(静岡学園・3年)
MF
岡田 隆(藤枝東・3年)
菊地直哉(清水商業・3年)
成岡 翔(藤枝東・3年)
安藤 淳(静岡学園・3年)
FW
谷澤達也(静岡学園・3年)
井上 平(清水商業・3年)
その他の優秀選手
最優秀新人
狩野健太(静岡学園・1年)
優秀GK
井嶋 優(浜松湖東・3年)
優秀DF
小林祐三(静岡学園・2年)
最優秀DF
牧野泰直(静岡学園・3年)
表彰(MVP・得点王・アシスト王)
MVP
谷澤達也(静岡学園・3年)
得点王
対象者なし
アシスト王
対象者なし
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